SとM
嘘なんて、一日に何度も吐いている。
あの人の場合、明らかに嘘である場合と一見するとわからない嘘があるから厄介だ。
あの人は、私に関する嘘をよく吹聴する。
私は少食だ、と周りからよく云われる。
本人と周りの見解の違いで、私は自分の量が普通の人より少し少ないくらいだとしか思っていない。
が、周りは極端に少食だと評している。
それだけに過ぎない。
あの人も私に関しては少食だと評している。
身内でラーメンの話になった。
私は替え玉はしません、と答えた。
食欲が有り余るほどならば一回ぐらいは出来るが、基本的にはしない。
男性陣はラーメンの替え玉を三回も四回もするらしい。
私はしきりに「有り得ない」を連発。
男性の胃袋の違いを思った。
そのとき、あの人は周りの人たちに向かって云ったのだ。
「●●(私のことです)はお猪口サイズしかご飯を食べないから」
真面目な顔で云ったのだ。
私はきょとん。
しかし、周りの人は本気か嘘か、
「有り得ない話ではないな」
と、納得し始めた。
驚き慌てたのは、勿論私。
必死に訂正する。
お猪口サイズだったらさすがに食べた気がしない。
それでも、面白がりなあの人は訂正して回る私を楽しそうに眺めている。
Sだ。完全なるSだ。
でも、どちらかと云えばMな私は実はそんな風に弄ってもらえるのを嬉しく思っている。
重症である。