おもいで語り(米米クラブ編2)

忘れないうちに、前回の続き。




米米クラブの何がそんなに好きなのか、と云う話である。
とりあえず「メロディー」「歌詞」「コミックソング」という三つの観点から話そうと思う。


1.メロディー
米米クラブは、わりとメロディーは単調だ。
単調、と云うのは悪い言葉ではない。云い方を変えると「覚えやすいメロディーである」のだ。サビが覚えやすい、というのはよくある話だが、米米クラブの場合は全編が覚えやすい。真似しやすい、というのは口ずさみやすいというわけで、親しみがわきやすいとも云う。
メロディーがわかりやすいが、曲全体には奥行きがある。それは、さまざまな楽器で構成されているからだ。米米クラブは、通常のバンドとは異なりホーンセクションもあるし、パーカッションもある。つまりはビッグバンドであった。あ、今でも続いているので「ビッグバンドである」か。それゆえ、曲の強弱もよくわかる。それが、メロディーは単純だが、広がりのある独特な世界を作っていたのではないだろうか。
そして、石井竜也の声と歌い方。これは外せない。ほとんどの歌は石井竜也が歌っている。少し演歌がかったいる歌い方。声は艶やか。でもおちゃらけるときはおちゃらける。それが、歌詞と曲世界をうまく私たちに伝えている。

2.歌詞
私は、米米クラブの歌詞にずいぶん影響されている。と、云うのも米米クラブはラブソングは本当に詩的で抜群だが、おちゃらけている歌(コミックソングと云うのだろうか)は言葉遊びの極致なのだ。
言葉に幅があるので、高校の時から言葉について興味のあった私は、ずいぶん参考にしたものだ。
たとえば、ラブソング。

立ち止まって 見ることすら しないで理由もなく 走ってた
何もかもが 焦りの中 かたくなに心 閉ざして

やすらぐひとときの 大切さ忘れていたね
君と出逢うまで こんな幸せ ここに見つけたよ Love Stay

振り向いた その時から すべてのものが 見えはじめて
幼かった 言葉たちを ならべてみても 空しいだけ

胸をしめつけた 君のひとつの言葉は
理由などいらないわ つくろわないでよ ただあなただけなの Love Stay …

("STAY"アルバム「K2C」より)


ストレートな言葉が、なんだか詩的に聞こえる。
「君と出逢うまで こんな幸せ ここに見つけたよ」
“こんな”という幸せは実はちっぽけだけど、隣にいた君がいなかったらわからなかった。ストレートな言葉の羅列にフッとやわらかな言葉が絶妙に響く。


3.コミックソング
おちゃらけているんだけど、くだらないんだけど、素敵。
それが米米クラブコミックソングだ。
何が私が気に入っている曲は「東京 Bay Side Club」「パリジェンヌ ホレジェンヌ」などいろいろあるが、なんと云っても「ホテルくちびる」。

国道沿い
赤い矢印まねく
愛のネオン
光り輝くよ Oh
愛は罪
二人はじらう Baby
ほてる身体
おさえて心は

To me 君と二人
罪なことしたいね
Love Song Love Song Love Song
Tonight Tonight Tonight
With You …

("ホテルくちびる"アルバム「米米クラブ」より)


「To me」が“罪”とか、「ホテル」が“火照る”とか。
まあ、言葉の変換、使い方にこんなものがあるのか…と。言葉遊びに吃驚。
しかし一番驚いたのが、歌う前。
曲が始まって歌い始めるのに5分程かな?最近あまり聴いていないので正確な時間はわからないが、それぐらいの時間がかかる。
では、歌い始めるまでの時間、何が起こっているのか。


それは、カールスモーキー石井石井竜也)の一人芝居。
カールスモーキー石井が車を運転している男(ラブホに行きたい)と助手席の女(清純そうに見えて実は…)の一人二役で頑張っちゃっているのだ。
それを始めてライブ映像で観たときは「この人は……なに?」と本気で思ったものだ。ちなみに当時小学生の私。でも、印象に残るのだ、そしていつの間にか歌っているのだ。(小芝居はやらない。決して)
あの世界の魔力としか云い様がない。とにかくおちゃらけているのだ。下ネタは普通なのだ。でも、引き込まれるのだ。
開き直ってやっているからそれほど下品に見えないのかもしれない。くだらないことを真剣にやる米米クラブを私たちは笑いながらその魅力に取り込まれている。


以上3点が私の米米クラブについての考察である。
別にこんなに書いていて「是非聴いてくれ!」と云うわけでもない。
自分の歴史をメモしておきたい。
それだけである。


さて、そろそろ寝ようかね…