桃月庵白酒『白酒ひとり壷中の天 火炎太鼓に夢見酒』







先日師匠の五街道雲助師匠の本を取り上げた。
師匠を取り上げたら、勿論弟子も取り上げなければならない。
(ちなみに師匠と弟子で同日に本を出している)


私は桃月庵白酒師匠の、あの体型が好きだ。
あの、お相撲さんかと見間違うほどの立派なお腹、まんまるのお顔。
白酒師匠の色紙に描いてある噺家さんはおそらく白酒師匠ご自身だと思うけれど、のびのびと腕を高く上げているところは、落語をのびのびとやっていきたい白酒師匠の想いのようだ。

学生時代の落語への出逢い、落研生活、学生らしく勉強よりもバイトや遊びに目が行く様子に私自身の学生時代も懐かしんでしまった。
学生時代はなんと云っても友人の存在が大きい。
腐れ縁、と書くと我が友人たちに怒られるが、ずっと縁が続くのだから不思議。
白酒師匠も落研で一緒だった柳家甚語楼師匠と噺家として縁が続いているのを、不思議に思いつつうれしく思っているようで、甚楼師匠の入門エピソードを本書でこっそり教えている。

修業時代のことでは、どうやって雲助師匠とは違う、白酒師匠を打ち出すかの葛藤が描かれていて読みごたえがある。
事務員さんの「(寄席には)出られませんよ、雲助が死なないと」という言葉は重い。
同じような芸風(人間)は二人と要らない、そこからの脱却は難しい。
一般の社会では同じような人間がいても困らないが、芸人ではそうはいかない。
食うか食われるか、食われたら寄席の出番はない。
葛藤の末の、今の活躍に拍手である。


他にも白酒師匠による古今亭一門の愉しみ方が書かれてある。
それぞれの師匠への想いも垣間見えて、わかりやすい解説。
古今亭右朝師匠は聴いたことがないので、今度探して聴いてみよう。



色紙のようにのびのびとした噺家に、今度逢いに行きたいと思っている。